VPSは、実際は共用サーバーでありながら仮想化技術により専用サーバーと同等の機能を備えた、仮想的な専用サーバーを指します。
共用サーバーとは、1台の物理サーバーを複数のお客さまでシェアして、その一部をお客さまへ提供するものです。
専用サーバーとは、1台の物理サーバーをまるごと1台、お客さまに提供するものです。
VPSとクラウドはいずれも仮想化技術を使って仮想サーバーをお客さまへ提供している点は共通していますが、次のように異なる点があります。
一般的にVPSの契約は、仮想サーバー1台毎となり、一度契約した構成のリソース拡張や縮小などには制限があります。
一般的にクラウドでは、1つの契約の中で仮想マシンを複数台作成できたり、仮想マシンのリソースの変更ができたりするため、拡張性・柔軟性の高いサーバー構成が可能です。
それでは詳しく見ていきます。
VPSとは
ホスティング業者があらかじめ物理的なサーバーを設置した上で、仮想的にサーバーを分割して貸すサービスです。
一つのリソースを複数人で分け合って使いますから、どうしても性能の限界はあります。
例えば5人が使っていたとして一斉にアクセスのピークを迎えたとすると、単純に物理専用サーバーに比べて1/5の量しか捌けないということになります。
また、他のユーザーが高負荷なゲームサーバーなどを利用していると回線やCPUが消費され、自分のサイトのスピードに悪影響を与えるかもしれません。
こういう弱点はありますが、分割することにより高価な物理サーバーを安価に利用できるようになりました。
※ハイパーバイザーとは
VPSの特徴
サーバーのスペック(CPU能力やディスク容量)は契約時に決定したらその後は変更しないのが一般的
スペックを変更する場合は月単位で契約を変更したり、サイトの移転が必要
向いている用途は
- 成長度が一定
- 需要が安定
- 長期的に契約
で、具体的には「ブログや企業情報のWebサーバー」に向いています。
クラウドとは
クラウドは物理サーバーを分割して借りる点ではVPSと一緒ですが、1契約の中でサーバーを複数台持つことができますし、サーバーのスペックもリアルタイムで変更することができます。
クラウドは、現実世界ではデータセンターの物理サーバー内に構築されていますが、仮想的に物理サーバーをまたがった作りになっているので、物理的な限界を超えてディスク容量や処理能力を買い足せるようになっています。繁忙期には拡大、閑散期には縮小、という対応が簡単にできます。自由に規模を拡大縮小できるのがクラウドの真骨頂です。
クラウドの特徴
VPSのように「1台いくら」ではなく、利用したサービス量に応じて課金されます。
単価も高めで、仮にVPSと同期間・同程度のサーバーを借りたとしても、VPSよりも値段が高くなる傾向があります。
また、VPSの大半は月額料金固定制を取りますが、クラウドの場合は大半が時間単位などの従量課金制です(自由に規模を拡大縮小できるため)。ですから、料金計算が難しいデメリットがあります。
また、セキュリティに問題がありサーバーを他人に乗っ取られることもあり、ご自身でセキュリティの構築をしなければなりません。VPSよりも管理が更に難しく玄人向けであることは間違いありません。
向いている用途は
- 繁忙と閑散の差がとても大きい
- 需要予測が付きにくい
- どこまで大きくなるかわからない
で、具体的には「超大規模Webサーバー」「社内システムのアウトソーシング」になります。
VPSとクラウド比較まとめ
項目 | VPS | クラウド |
月額 | 固定 | 従量 |
単価 | 安い | 高い |
契約単位 | 1台 | 制限なし |
柔軟性 | ✕ | ○ |
おすすめ | ♦成長度が一定(予測し易い) ♦需要が安定 ♦長期的に契約 ♦サーバー1台あれば良い案件 ♦アクセスが安定したWebサイトを長期的に借りたい | ♦成長度が予測できない ♦需要が安定しない ♦状況に併せて柔軟に対応したい ♦スモールスタートで始め、将来的に拡張したい ♦用途の異なる複数台のサーバーが必要 ♦急なアクセスのあるWebサイト ♦テスト・検証環境として短期間借りたい |
サービス名 | ♦さくらインターネット ♦GMOクラウド WADAX 専用サーバー・プライベートクラウド ♦GMOインターネット ♦カゴヤ・ジャパン ♦NTTコミュニケーションズ | ♦カゴヤ・ジャパン ♦さくらインターネット ♦GMOクラウド ♦GMOインターネット Z.com Cloud ♦NIFTY NIFTYクラウド ♦Amazon AWS ♦Microsoft Azure ♦IBM IBM Cloud ♦NTTコミュニケーションズ クラウド・エヌ ♦IDCフロンティア IDCF クラウド ♦鈴与シンワート S-Portクラウドサービス Vシリーズ |